2010年11月6日土曜日

Weine mit geschuetzter Ursprungsbezeichnung_EU_Landwein_Spaetelse_ Landwein

ゴー・ミヨ騒動で揺れたドイツワインですが、それとはまた別に
もうひとつ大きな変革が訪れつつあるようなのです。
EUのワイン市場改革による原産地呼称制度の導入がそうです。


『原産地呼称付きワイン』(Weine mit geschuetzter Ursprungsbezeichnungとそれ以外の3段階に分かれた格付けがEU全体に
この8月から適用されることとなりました。

ドイツでは来年12月までは移行期間となり
現在この原産地呼称システムにあわせドイツワイン法が改正される作業が
すすめられているとのことです。

EU議会のコンセプトでは基本的に従来のQualitaetswein, Praedikatsweinが『原産地呼称付きワイン』に含まれ、Landweinは『地理的呼称付きワイン』
それ以外のTafelweinは地理的表示なしとなります。
またSpaetelseなどの肩書きも伝統的表記として残し併記できるため
現在の表記システムに原産地呼称が付け加わるだけという
スムーズな導入が配慮された改革となりました。

同醸造所連盟では数年前から独自に畑の格付け制度を導入しており
エアステ・ラーゲ(グラン・クリュ)を頂点として村名ワイン
グーツヴァイン(醸造所名ワイン)の3段階の品質による階級を定めて
それぞれ収穫量の上限を定めています。
VDPとしては今回のワイン法改正を機に同連盟の収穫量上限基準を
『原産地呼称付きワイン』の規定としてドイツワイン法に取り込むことを求めてきたのです。

「これではワインは供給過剰となってしまい、価格崩壊を招くのは必至」と
VDP代表クリストマンは危機感をあらわにし、『原産地呼称付きワイン』に関して
生産地域名もしくはベライヒ名を名乗るものは90hl/ha、村名ワインは75hl/ha
畑名を表記する場合60hl/haに引き下げながら
栽培地域が限定されるほど品質が高くなることを保証する
原産地呼称システムを明確に打ち出さなければならない、と強く主張しています。

ここで思い浮かぶのはオーストリアのワイン法です。
不凍液混入事件の後、ワイン法改正は時期尚早として見送ったドイツに対し
オーストリアでは Landwein以上の格付けには
67.5hl/haという収穫量上限を定め、高品質路線を目指すことを明確に打ち出しました。
それが現在のオーストリアワインとドイツワインの市場でのイメージと
売り上げの差に繋がっているのではないのかと思わざるをえません。


今、葡萄畑で順調に熟しつつある葡萄の収穫量を
どこまでワイン法で抑えることが出来るか、また
実際にどれだけ収穫量を削減し、高品質を目指すかはそれぞれのの醸造所の判断によるとしながらも
原産地呼称システムの意義を明確に反映したワイン法改正が出来るかどうか
そこにドイツワインの実情とともに、今後の行く末を垣間見ることが出来るように思います。


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